事務を外注に回そうとして断られた。見積もりが高すぎて諦めた。「特殊すぎて受けられません」と言われて終わってしまった。そんな経験のある方に向けて書いています。
断られた業務は、実は自社でいちばんコストや時間、業務効率の面で負担の大きい業務のはずです。
外注が断る業務ほど、一般化はできず、コストが大きくなりがちだからです。そこに気づけば、手を付ける順番が変わります。
この記事では、「特殊」という言葉が実際には何を指しているのかを分解し、その業務にいくら掛かっているかを自分で15分で数える方法まで書きます。
結論
外注に断られた業務は、自社でコストや時間がかかっている業務なはずです。
例外が多い = 判断が要る = 人が張り付いている。外注が受けにくい理由と、削減額が大きくなる理由は同じです。つまり、コストや時間がかかりやすい業務ほど断られやすいのです。
外注が断るのは、業務が変わっているからではありません。標準化された業務しか受けない相手の、受け入れ条件に合っていないだけです。
合わないから人がやる。人がやるから人件費が乗る。その状態で何年も残ります。
その金額は、15分で出せます。
まずは業務を選んだうえで、時給 × 人数 × 時間で計算できます。数え方は記事の後半に書きました。出てきた金額を見れば、その業務を本当に改善する必要があるかを可視化できます。

「特殊」と言われる業務に共通している3つのこと
「うちは特殊で」とお客様が言う業務を並べていくと、中身はだいたい同じ3つに分かれます。
1. 手順が人の頭の中にしかない
手順書が無いのではなく、手順書に書ける状態になっていない。「この学校だけ締切が違う」「この取引先はFAXで来る」「この月は例外」。
書こうとすると条件分岐が増えすぎて、書き切る前に諦めた、という状態です。
外注先は見積もりを作るために手順書を求めます。それを出せず、「では御社で整理してから」と言われて、そこで止まります。
2. 例外が業務量の大半を占めている
「9割は同じ処理です」と言われた業務を実際に数えると、9割は件数の話で、時間の話ではないことがほとんどです。件数では1割の例外が、時間では半分を超えています。
ここで言うBPOは、経理・請求・データ入力といった事務の工程を、まとめて外の会社に任せる形のことです。人材派遣が「人」を借りるのに対して、BPOは「工程そのもの」を預けます。
標準的なBPOは件数で値段をつけます。件数あたりの単価で受け、例外は「対象外」として戻します。
戻された例外は結局こちらで処理するので、外に出したのに人が減らない、という結果になります。
3. 担当者が休むと止まる
例外を裁いているのは特定の1人です。その人が休むと、業務そのものが止まります。
休ませられない。採用しようとしても、覚えるまでに時間がかかるので、採れても回らない。


なぜ標準BPOでは受けられないのか
これはBPO会社が不親切なのではなく、ビジネスの構造上そうなるという話です。
BPOは、同じ処理を大量に集めて単価を下げるモデルです。1社ごとに違う判断が入ると、その1社のためだけに人を訓練することになり、単価が成立しません。
受託条件に「標準化された業務であること」「手順書が提出できること」が入ります。
手順が固まっている業務ほど安く出せて、固まっていない業務ほど出せない。ところが会社側から見ると、コストがかかっているのは後者です。
安く出せるものは、もともと安い。
ここに、ずっと埋まらない穴があります。

自分で確かめる:例外の割合を「時間」で数える
ここまで読んで「うちもそうかもしれない」と思ったら、外注に相談する前に15分で確認できます。例外の割合を、件数ではなく時間で数えるだけです。

- その業務の1か月ぶんの処理件数を出す(受注、申込、請求、問い合わせ、なんでも構いません)
- そのうち、手が止まった件数を数える。「確認が要った」「前任者に聞いた」「例外として別処理した」件を挙げてもらう
- 標準的な1件にかかる時間と、止まった1件にかかった時間を、それぞれ担当者に聞く
- 掛け算して足す。標準件数 × 標準時間 と 例外件数 × 例外時間 を並べる
ここで多くの現場が、次のような数字になります。
件数では例外は1割。ところが時間では、例外が半分を超えている。
この形になっていたら、件数あたりの単価で外注しても人は減りません。戻ってくる1割が、時間の半分を持っていくからです。
3や4の段階で「例外の時間もほとんど変わらない」なら、その業務は標準的なBPOに出せます。安く済みます。
この確認は、誰に頼まなくても今日できます。
見積もりを取る前に出しておけば、外注先との会話も1回で済みます。

その穴に何を入れるか
私たちがやっているのは、この穴を埋める作業です。
① 例外を消さずに、そのまま受け取る
最初に「業務を標準化してください」とは言いません。標準化できていたら、とっくに外に出せています。
例外があるまま受け取り、例外ごと仕組みに入れるのが出発点です。
② 判断の分かれ目だけを聞く
手順書を書いてもらう代わりに、「どこで迷うか」だけを聞きます。「この条件のときは、どうしますか」を一つずつ確認します。
手順は作業を見れば分かりますが、判断の分かれ目は聞かないと分かりません。
例外が多い業務ほど、この聞き取りに時間がかかります。逆に、ここに時間をかけられるかどうかが、受けられるかどうかの分かれ目です。
③ 例外を「人に回す口」を最初に作る
全部を自動にはしません。判断が要るものだけが手元に残る形にします。9割を機械が流し、1割が担当者の画面に並ぶ。担当者の仕事は「作業」から「判断」に変わります。
通販の海外配送業務では、6工程のうち5工程を自動化して、人が判断すべき例外だけが残る形にしました。伝票を書く・控えを転記する作業はゼロになっています。
④ 手順書は、こちらが書いて渡す
移した結果は手順書と例外リストにして、お客様に渡します。毎月直し続けることで続く関係にする、という考え方です。

「特殊」は、値段がつく理由でもある
例外が多い業務は、外注に断られ、人が張り付いたまま残ります。
そのぶん、削減額が大きくなります。
標準化された業務は、もう安いのです。単価の安いBPOに出せるし、パッケージのツールも売られている。削っても、削れる幅は小さい。
一方、「特殊だから」と言われて残っている業務には、正社員やパートの人件費が丸ごと乗ったままです。
ここを削ると、削った額がそのまま利益に残ります。削減した費用と時間を別の業務に当てれば、売上がさらに向上します。

判断のしかた
自社の業務が「外に出せない側」に入っているかどうかは、次の3つで見分けられます。
- 外注・派遣に相談して、断られた/見積もりが高すぎた業務がある
- その業務の手順書が、社内にしか無い(あるいは無い)
- 担当者が休むと、その業務が止まる
3つとも当てはまるなら、その業務は外に出せないから残っている業務です。人を増やす以外の方法を検討する価値があります。
おわりに
「うちの業務は特殊だから」と言われたとき、私たちは「そうだと思います」と答えています。否定するところから始めても、例外を教えてもらえないからです。
特殊であること自体は問題ではありません。特殊なまま人が張り付いていることが問題です。そこを外せるかどうかだけを見ています。
具体的にどの業務が該当するかは、実際の業務を伺わないと分かりません。
判断の材料になりそうな12項目のチェックを用意しているので、当てはまるものがいくつあるか見てみてください。
そのチェックは下のページに置いてあります。メールアドレスの登録は要りません。開いて、当てはまるものを選ぶだけです。
