AIで業務を自動化した事例を探すと、大きな会社の話が多く出てきます。工場や全国チェーンの話は参考にはなりますが、事務にパートが2〜3人という規模の会社が、明日から何をすればいいのかはあまり書かれていません。
ここでは、当社が実際にお引き受けした3件を、何を作って、何ができるようになって、いくら減ったかの順に書きます。そのあとに、自社で始めるときの順番を書きます。
数字は、現場で起きたことを当社が計測したものです。お客様からいただいたコメントではありません。守秘のため法人名は伏せています。
当社がお引き受けした3件
業種も規模も違いますが、手を入れた場所は3件ともほぼ同じでした。まず、それぞれ何をしたかを書きます。
事例1|学校の中に置かれた予備校の運営業務
運営スタッフが数名いて、講座の申込受付、受講料の徴収、講師の給与、教室と備品の管理までを手分けしていた現場です。手順はそれぞれの担当者の頭の中にあり、引き継ぎは口頭とExcelの連絡表で回っていました。
作ったのは、生徒向けのサイト(講座の閲覧・時間割・申込・受講生ログイン)と、運営側の画面です。運営側には、チューターが当日にやることをまとめた画面、講座別・生徒別・日別の引き継ぎメモ、出勤シフト、お知らせ配信、問い合わせへの対応集を入れました。Excelの連絡表24件は、この対応集に移しています。印刷依頼や備品のボード、開室・閉室のチェックリストも同じ場所に置きました。
結果として変わったのは、「その人しか分からない」という状態が消えたことです。手順と例外が仕組みの中にあるので、誰が入っても同じ品質で回ります。引き継ぎは、未来の日付のものでも当日の担当者に自動で届きます。同じ質問への対応は対応集で一度で終わり、受講人数や教室割は常に最新で、印刷部数まで連動します。
年間の業務コストは1,000万円ぶん減りました。空いた人手と時間と費用を売上を伸ばす側に回せたので、利益率は15ポイント上がっています。
事例2|夏期講習の申込・決済・給与データ
毎年夏に業務が集中し、同じ時期に3名が2か月とられていた現場です。申込は紙とExcelで受け、名簿を作り、受講証を出し、終わったら講師のコマ手当を集計していました。
作ったのは、ログインなしで講座を見られて、学校のアカウントで申し込めるオンラインの申込システムです。時間割を組みながら複数の講座をまとめて申し込めるようにし、重複の警告、定員、満席のときの部分成功まで入れました。受講証の一覧と印刷、キャンセル、マイページも同じ仕組みの中にあります。運営側には、講座の作成・料金の変更・閉講・一括取込ができる管理画面と、教員が担当講座を見る画面を用意しました。講師のコマ手当は自動で計算し、給与コードの付いたCSVで出します。
変わったのは、受付から名簿・受講証までがオンラインで完結したことです。受付の取りこぼしがなくなり、申込そのものが10%増えました。給与の支払いデータを作る集計作業はゼロになり、かかる時間とコストは20%減っています。
事例3|海外配送の伝票・追跡・購入者への連絡
通販の海外向け発送で、毎日の出荷を人が手で処理していた現場です。伝票を書き、控えを転記し、送料を計算し、発送後は「届きましたか」「今どこですか」という問い合わせに答えていました。
作ったのは、注文データを起点にして配送伝票を自動で作る仕組みです。地域別の送料を自動で計算して徴収し、配送情報を同時に確定させます。発送時には追跡番号を読み取って、購入者と注文に自動で紐付け、追跡番号入りの発送メールを送ります。そのあとも配送状況を取得して、動きがあるたびに購入者へ自動で連絡します。梱包の手順も、伝票の順に並べたリストに組み替えました。
6つの工程のうち5工程が自動になりました。伝票を書く作業と控えを転記する作業はゼロです。送料の取り漏れや宛先ミスによる再送もなくなりました。購入者が自分で注文履歴・発送予定・配送先を確認できるようにしたので、「今どこですか」という問い合わせも来なくなっています。人の手元に残るのは、判断が要る例外だけです。
3件に共通していること
並べてみると、同じところに手を入れています。
1つ目は、手順が人に張り付いていたことです。3件とも、担当者の頭の中にある手順と例外を、最初に全部聞き取っています。ここを飛ばすと、定型部分だけが速くなって判断の時間が残ります。
2つ目は、同じ数字を2回以上打っていたことです。申込から名簿、名簿から給与。注文から伝票、伝票から発送連絡。2回目以降の入力をなくすのが、いちばん確実に時間が減るところでした。
3つ目は、標準のパッケージに乗らない業務だったことです。既製のツールに合わせようとすると例外が手作業で残るので、業務のほうに仕組みを合わせて作りました。「うちの業務は特殊だから」と言われる会社ほど、削れる量が大きくなります。
自社で始めるときの順番
当社が入る場合も、御社だけで進める場合も、順番は同じです。
- 業務を1つ決める。全部を一度に見ようとすると止まります。いちばん重いものより、デジタルで完結しているものから選ぶほうが早く効果が出ます。紙・FAX・電話が入口の業務は2つ目以降で扱います。
- 手順を最初から最後まで実演してもらう。書き出すのではなく、1日ぶん横で見るのが確実です。分かれ道は手順書に書かれていません。
- 例外を誰がどう埋めているかを書き出す。ここが残ると、削減時間が伸びません。
- 効率化する・業務そのものを変える・自動化する、を切り分ける。全部を自動化する必要はありません。やめられる作業は、作る前にやめるのがいちばん安上がりです。
- 作って、実際の業務に載せる。載せてから直す前提で進めます。
- 数字で確かめる。月に何時間減ったか、何円ぶんかを見て、続けるかどうかを決めます。
現場の協力がなければ移行は成立しません。人を減らす話ではなく、その方が本来やるべき仕事に戻る話だということを、最初に説明しておいてください。
効果の測り方と、費用
効果は「便利になった」ではなく、月に何時間・何円ぶんかで測ります。減った時間に紐づいた人件費・派遣費・外注費が落ちて、落ちた費用がそのまま利益になるところまでが、見るべき範囲です。
当社にご相談いただく場合、改善したい業務を伺って見立てを出すところまでが0円です。効かないと判断したら、そう申し上げます。初期費用は一律98,000円(税別)で、御社に入るときの最初の1回だけ。動かし続ける月額は12〜25万円(税別)で、保守を含みます。効果を確認して採用いただいた業務にだけ月額が発生し、効かなかったものには発生しません。金額は着手前にご相談のうえ確定します。
御社の業務がどこで止まっているかは、手順を一度だけ通して見せていただければ見当がつきます。その場で「月に何時間・何円ぶんか」「AIで回せるか」をお伝えします。見立てまでは0円です。
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